IBS Annual Report 研究活動報告 2017 93
Ⅴ.海外学会参加の概要
*道路・経済社会研究室 室長 **道路・経済社会研究室 研究員 ***道路・経済社会研究室 専門情報員
第25回世界道路会議PIARCソウル大会
25rd World Road Congress
西村巧
*國府田樹
**粕谷ひろみ
***By Takumi NISHIMURA, Miki KOUDA and Hiromi KASUYA
●
1
はじめに
世界道路協会(WRA:World Road Association, 通 称 PIARC:Permanent International Association of Road Congress)は、道路の建設、改良、維持、 利用の促進や世界全体の道路技術・道路交通政策の向上 を目的として 1909 年に設立された国際機関である。 現在、121 カ国が加盟している。世界道路協会の活動 は、4 年間を 1 期間としており、2012 年から 2015 年 までの活動期間では、4 つの戦略テーマ(ST)の下に 17 の技術委員会(TC)が設けられ、調査研究、途上国 でのセミナー等の活動を実施してきた。
世界道路協会では、道路分野の最も権威ある国際 フォーラムとして、4 年に 1 度、世界道路会議を開催し ており、同会議では、世界各国の道路関係者が一同に 会し、新しい知識・技術の紹介や各国が抱える課題につ いて意見交換等を行っている。
第 25 回 世 界 道 路 会 議 は、2015 年 11 月 2 日 か ら 6 日まで韓国・ソウルの COEX で開催された。本会議 は、『道路とモビリティ-交通による新たな価値の創 出 』(Roads and Mobility – Creating New Value from Transport)をテーマとして、114 カ国から 3 千 人以上が参加し、40 カ国の大臣等も参加した。会議 は 5 日間にわたって、3 つの基調講演、4 つの戦略セッ ション、14 の特別セッション、17 の技術委員会セッ ション、6 つのワークショップが開催され、多くの参 加者が活発な議論を行った。
●
2
大臣セッション
開会当日、技術委員会等による各セッションに先立 ち、「次世代に向けた道路政策の展開」をメインテー マにして、35 カ国の大臣等が参加した「大臣セッショ ン」が開催された。ユ・イルホ韓国国土交通大臣の開会 挨拶に続いて、世界各国が直面している重要な課題で
ある(1)持続可能な財源(Sustainable Finance)、 (2)サービスの改善(Service Improvement)、(3)
新たな技術(New Technology)に関して、3 つのラ ウンドテーブルに分かれて、各国の取り組み状況や課 題等に関する意見交換を行い、「ソウル大臣宣言」が採 択された。
写真-1 大臣セッションに参加した各国大臣
●
3
戦略セッション:モビリティと増大する
都市化
本セッションでは、昨今、世界的に深刻化している 大都市圏でのモビリティの確保について発表と討論が 行われた。
本セッションの開催にあたり PIARC 加盟国にナショ ナルレポートを公募し、12 か国からレポートが提出さ れた。各国レポートの論点の共通性と上記セッション テーマに照らして、サブテーマとして「新技術導入の実 現性」と「都市交通計画と土地利用計画の整合化」の 2 つを設定し、2 部構成でセッションが行われた。
94 IBS Annual Report 研究活動報告 2017 Ⅴ.海外学会参加の概要
の ITS の導入戦略について発表された。急速な都市化 とともに発生した道路交通問題の解決には、ITS や自動 運転などの新技術の重要性が認識された一方で、導入 にあたっては、環境・安全・経済面での持続可能性やビ ジネスモデルの検討が必要という意見が出された。
第 2 部では、「都市交通計画と土地利用計画の整合 化」をサブテーマとして、都市圏における土地利用計 画が交通に及ぼす影響とこれを踏まえた両者の計画整 合化について、スロバキア、オーストリア、チェコ、 韓国、セネガル、スイスから関連する取り組みを紹介 し、意見交換を行った。都市交通問題解決には自動車 交通、公共交通、非動力系交通からなるマルチモーダ ルな交通戦略と土地利用計画、都市開発を密接に連携 させることが重要であるという意見が出された。
●
4
日本展示館
世界道路会議の展示ブースにおいて、日本は国土交 通省ほか官民 25 団体で、「道路インフラの海外展開」 の推進を図ることを目的に日本展示館を出展した。国 土交通省による「世界をリードする日本の道路政策」、 高速道路会社による「海外に広がる日本の高速道路技 術」、道路関連企業・協会団体による「日本が誇る道路 技術」の 3 つのゾーンに分け、長大橋梁、トンネル、舗 装、維持管理、ITS など、日本が誇る道路技術をパネ ル、模型、映像を使って PR した。
写真-2 日本展示館
写真-3 日本展示館のオープニングセレモニー
●
5
おわりに
本 会 議 で は 2012 - 2015 年 の 活 動 成 果 が 報 告 さ れ た。2016 年 か ら は 新 た な 4 年 間 の 調 査 研 究 が 始 まっており、5 つの戦略テーマの下、17 の技術委員 会(TC)が設置されている(表- 1)。また、TC に加え て、今サイクルでは 4 つのタスクフォース(TF)が設け られている。TF は絶えず変化する社会情勢及び技術の 進歩を鑑み、より迅速な対応が必要となる課題に焦点 を当てた活動グループである。新たなタームのさらな る成果に期待したい。
表-1 技術委員会とタスクフォース(2016-2019年)
戦略テーマ(ST) 技術委員会(TC)
STA:マネジメン トと財政
A. 1:交通行政のパフォーマンス A. 2:道路交通システム経済と社会開発 A. 3:リスクマネジメント
TFA. 1:革新的な資金調達
TFA. 2:国家および準国家機関間の協調
STB:アクセスと モビリティ
B. 1:道路ネットワーク管理 /ITS B. 2:冬期サービス
B. 3: 都市圏の持続可能なマルチモーダリ ティ
B. 4:貨物輸送
TFB. 1: 革新的交通ソルーションのための 道路設計とインフラ
STC:安全
C. 1:国家道路安全政策とプログラム C. 2:安全な道路インフラの設計と運用 TFC. 1:インフラのセキュリティ
STD:インフラス トラクチャー
D. 1:アセットマネジメント D. 2:舗装
D. 3:橋梁
D. 4:地方道路と土工 D. 5:道路トンネル管理
STE:気候変動、 環境と災害
E. 1:適応戦略 / レジリエンシー